◎ 腰部周囲の症例
1.50代の女性―右臀部の痛みと下肢のだるさ
2.50代の女性―腰部周囲に痛みを感じ、腰が後ろへ出張り、伸ばせなくなった
1.50代の女性
主訴として
右臀部の痛み―三日前から立ち上がる時や、階段を上がる時に右臀部に痛みが出
る様になり辛いと、また座って仕事をしていると下肢がだるくなるという訴えで来院
されました
原因については転んだり、激しいスポーツをして負荷がかかった様な事をしたと云う
覚えがないとの事でした
仕事は、デスクワーク中心で周りからストレスが掛かる事が多い、その影響で疲れが
溜まっているとの事でした
学生時代にスポーツをやっていたが、今は運動で身体に負荷がかかる様な事はしてい
ないとの事でした
既往歴として脊柱管狭窄症があるが、今は症状は出ていないとの事です
検査
傾聴検査で右腹部へ引かれ何か問題がある事を示していました
また身体全体から疲労も噴出していました
脊椎、骨盤、下肢の関節に可動性制限の問題はありませんでしたが、右臀部の中にあ
る梨状筋と云う筋肉に緊張と圧痛がありました
また、右腎臓の可動性に制限を感じました
更に、検査を進めると頭がボーリングの球様に非常に重たくなっていていました
頭蓋内静脈や脳脊髄液の排液が悪い為に頭が重たくなっていたのでしょう
その事により、頭蓋内硬膜に緊張を作り脊柱管硬膜を介して仙骨に一次呼吸の機能障
害を作り、右梨状筋の痛みの原因になっているようでした
トリートメント
右腎臓の可動性制限を解放、後頭骨に掛かっている圧力を減圧、また後頭骨と硬膜を
介して関わりを持っている上部頸椎、後頭骨と側頭骨との縫合や関節、組織の緊張を
解放しました
更に、脳神経を被っている硬膜の緊張を解放し、頭蓋内からの静脈排液や脳脊髄液循
環が上手く機能を取り戻す事、脳神経から発生する第一次呼吸運動が脊柱管硬膜を通
して仙骨まで連動が出来る様にしました
右梨状筋にあった緊張がとても和らいだのですが、僅かに緊張が残っていたので解放
しました
再検査
身体から噴き出している疲労・右腎臓の可動性・頭の重さや硬膜の緊張が緩み全ての
機能が回復し、右梨状筋緊張と痛みが消失しました
患者様への確認
患者様に施術前後の身体状態について
「右お尻の痛みと足のだるさはどうですか?」と、お尋ねしました
「先生何をしたんですか? 凄く楽になった」と言われ満足されました
考察
右腎臓の可動性制限は、デスクワークという仕事で、あまり動かれていない事により
筋肉を使っていないため循環系もあまり良くありませんでした
職場でのストレスが自律神経を疲弊させ、蝶形後頭底結合の運動機能も低下していま
した
結果、頭蓋内の静脈排液や脳脊髄液循環機能が低下し、頭蓋内にこれ等の液が溜まり
頭が重たくなり、身体活力も低下し肉体的疲労も溜まったと感じました
頭蓋硬膜の緊張が脊柱管硬膜を通して仙骨の機能に障害を作り、結果的に梨状筋に痛
みを作ったと考えられました
患者様の訴えは右臀部の筋肉痛でしたが、原因はストレス、運動不足、循環機能低下
等による様々な要因が重なって起こっている問題でした
2.50代の女性
主訴は、最近「腰部周囲に痛みを感じ、腰が伸ばせなくなった」との事で来院されま
した
立った姿勢.歩行時の姿勢に前傾がとても強く、日常生活が非常に大変であるという事
を感じさせる姿勢でした
お話を伺いますと、負傷原因について思い当たる事はなく事の始まりは、4年前の朝
目覚めた時に突然腰の周囲に痛みと痺れが出てからという事です
その時は、整形外科を受診され「すべり症と診断」されたという事でした
既往歴
小1の時に右肘関節周囲の複雑骨折で手術
7.8年前にその後遺症として右肘内側尺側神経溝に炎症を起こし神経圧迫の除去手術
現在更年期は終わっているが、以前ホットフラシュが酷かった
左手拇指CM関節症で痛みが強い、重たいものを持つと痛みの為掴めなくなる
立位の観察
立位姿勢が前傾し、腰椎4.5番が後方へ出っ張り、骨盤は後ろへ倒れ真っ直ぐ伸ばす
事が出来ません
腰を伸ばそうとすると抵抗があり痛みが出ますが、その痛みは周囲に放散しないそうです
また、夕方になると腰の伸びが更に悪くなり痛みが強くなるとの事でした
仰向けに寝て頂くと両大腿部を伸ばす事が出来なく膝が曲がった状態になり、腰に痛
みが出ると訴えます
膝の下に枕を入れると腰の痛みが少し和らぐと言いました
検査
全身傾聴.可動性.触診検査等で、大腰筋.横隔膜のとても強い緊張が腰椎を後方へ出っ
張らせている異常な圧力、原因の一つである事も分かってきました
また、下肢の感覚異常や筋力低下、SLRテスト等はマイナスでした
更に、大腰筋と横隔膜の強い緊張と右肘複雑骨折部の関係がある事も検査で分かりま
した
骨折部位は必ず瘢痕化し治癒してくるので、どうしても組織の柔軟性や可動性が
欠如してしまいます
場合によっては、瘢痕治癒した組織が他の組織に影響を与え機能障害を作る原因にな
っている事もあります
右肘骨折手術部位の瘢痕治癒部が骨内病変となっていました
見た目には何もない様に見えますが、骨組織の呼吸による運動や、組織の弾力性が複
雑に圧縮され、癒着を起こしていました
骨組織の弾力性低下、骨組織の呼吸運動低下の機能障害を解放し、そこからの骨内組
織障害から筋膜連鎖障害を解放する為に施術いたしました
かなり時間が掛かりましたが、肘周囲の組織が緩むと腹部から腰部.股関節.下肢へ掛
かっていた大腰筋や横隔膜からの緊張が緩み下肢を伸ばす事が出来る様になりました
患者様も、肘部位の施術中に今迄身体に掛っていた余分な力が抜けていく事を感じら
れたそうです
最後に、大腰筋や横隔膜の強い緊張が強く影響を与えていた部位を施術して終了しま
した
立位になって頂くと来た時よりも凄く立ちやすくなって痛みが軽減したとの事でした
考察
右肘複雑骨折部位、手術瘢痕治癒部に組織の機能障害があり、歪力となりそこか
ら筋膜等を通して、胸郭上口の左右のアンバランスを作りました
胸郭上口通過の横隔神経に圧を掛け、横隔膜を緊張させ連鎖的に大腰筋へ緊張
を発生させ体幹が著しく前傾しなければいけない状態になりました
その結果
腰椎4.5番や骨盤に体幹の前側から負荷をかけられ、腰椎の後方凸を増大させ
腰椎や骨盤部の伸展制限と痛みの原因になったと考えられます
この様な状態になるには長年の生活習慣、組織の変形があり、その変形に身体の様々
な部位で適応し、様々な機能障害が混在している事が考えられますのでじっくり時間
を掛けて施術必要があります
オステオパシーでは
常に症状が何処にあろうとも全体
との関連を診て、どの様な繋がりが
あるか、影響があるかという事を
大切に診ていきます
どうぞお気軽に
お問い合わせください
お待ちしております
あさひ鍼灸整骨院
オステオパシー療法
☎ 0480-22-5597